今回のテーマは、股関節です。あまり一般的ではないような気がしますが、院長にはこだわりがあるようです。
<院長は股関節にこだわり派>
―今回は、読者が限定されるとか?
はい。今回は特にスポーツをやる方やダンスをやる方に読んで頂きたいなと思っています。水中スポーツを除くほぼ全てのスポーツとダンスにおいて、股関節はパフォーマンスの鍵を握っているとちょっと強気に断言します。
―なぜ股関節が重要なのでしょうか?
歩くとき、お尻は多少ひねりの動作が入ります。このとき、股関節の動きが悪いと、お尻が固定されるようになりますから、要するに「お尻を振るように歩く」となります。これは見た目セクシーですが、お尻を左右にフリフリするので腰がねじられることになり、腰に負担をかけて腰痛となってしまうというのがあります。
―女性は、お尻フリフリはセクシーですけどね(笑)
そうですね(笑)。でも、スポーツ選手などの場合はそうはいってられません。バレエ、ダンス、スポーツなどのあらゆる地上での動きにおいては、脚によって身体が支えられています。そのときの股関節の動きが命運を握っているといっても過言ではありません。パフォーマンスを発揮するには、極めて重要なのです。
―でも、股関節の筋肉ってピンときません。
パワーではありません。股関節の重要な役割はスタビライゼーション、すなわち安定性です。「軸を安定させる」といえば分かりやすいでしょうか。
軸の安定は、全てのスポーツの根本といっていいでしょう。野球の投球では、軸が安定しないとリリースポイントがブレてノーコンになります。打者になれば、軸がブレればボテボテの内野ゴロです。サッカーでは、力強いシュートや正確なパスを出すには軸の安定は必須です。バレーボールのような、ジャンプするスポーツにおいても軸がブレれば正確なシュートは打てないでしょう。格闘技のパンチでさえ、威力を決めるのは下半身の安定性です。長距離走の場合は、軸がブレればその分各筋肉に負担がかかります。そのために体力を消耗し、後半の勝負所でのスタミナに影響するのです。
またダンスのような場合は、軸が安定すれば姿勢が美しく、無理がありません。姿勢が安定しますから、指先や足先もしなやかに伸ばせます。姿勢が崩れたダンサーさんは、よく手をヒラヒラさせてそれを誤魔化しますよね。
ですから股関節が安定すれば、コントロールが良くなり、姿勢は安定し見た目は美しくなり、さらには体に無理がかからないのでケガもしにくくなるのです。「同じところをよく痛める」という方は、必ずどこかがアンバランスなのです。
スポーツやダンスなどで一流の方は、必ず「フォームからして美しい」ですよね。
<施術で向上!>
―ではそんな股関節に対してどのような施術をするのでしょうか?
股関節にまつわる筋肉の多くは、太ももの骨と骨盤の間についています。だから、骨盤と股関節と、両方に施術をします。ほとんどの整体院では骨盤は矯正するでしょうが、股関節までやるところは意外と少ないと感じています。
特に外転筋と呼ばれるお尻の筋肉と、内転筋と呼ばれる内ももの筋肉はスポーツ障害で来院される方のほとんどにやります。
ある陸上部に所属する選手は、この施術を行った翌日の練習の1500メートル走でいきなり5秒タイムを縮めたそうです。
―それは驚きですね。なぜいきなりそんなに効果が出たのでしょうか。
その方は、お尻の中殿筋に疲労からくる緊張が強く見られました。その緊張をほぐす施術をしたので、股関節を動かせる範囲が広がりストライドが広くなり、また中殿筋は体軸の安定に極めて重要な筋肉なので軸も安定して走りに無駄がなくなったのでしょう。
―これを読んでいるスポーツ選手やダンサーもいると思います。股関節について何かするといいことはありますか。
そうですね、では「ハムストリング(太もも裏側)のストレッチが重要ですよ」とアドバイスします。
―ええっ、お尻とか内ももとかいってたくせに!?
話しが長くなるので省きますが、脚を高く上げるにはハムストリングの柔軟性が重要なのです。脚が高く上がって困ることはあまりないですよね。ハムストリングは蹴り出しのパワーにも重要な筋肉です。さらに、肉離れを最も起こしやすい部位のひとつでもあるので、ハムストリングを柔軟に使えることは重要なのです。
―なるほど。ありがとうございました。