今回は、肩にまつわるエトセトラ、特に五十肩(四十肩)を中心にお話しをします。
<ややこしい「肩関節障害」>
―今回は肩ですか。
そうです。実は肩の施術を受けた方々から、「もっと肩の施術を前面にアピールしたほうがいい」とアドバイスを複数受けまして。でも内心気が進まないのです。
―え?それはまたなぜですか?
実は非常に面倒くさいからです(笑)。肩というのは非常に動かせる範囲、つまり可動域が大きいために様々な筋肉が関わっており、また肩関節だけではなくて周辺にまつわる領域も多いのです。だから、考えなければいけないことが多いのです。
―いろんなところに行ったけれど、なかなか良くならないという声をよく聞きます。
それこそが、肩への治療の難しさを物語っているでしょうね。よく肩周辺をマッサージするのを見かけますが、それではなかなか良くなってくれないのです。
―なぜ良くならないのでしょうか。
肩の動きが複雑だからだといえます。例えばボールを投げるため構えたときに肩が痛いとします。このとき、肩関節の動きは伸展、外転、外旋の状態にあります。肩関節の伸展には三角筋後部が、外転には三角筋中部と棘上筋が、外旋には棘下筋と小円筋が作用しています。さらにいえばインピンジメントが・・・
―ちょ、ちょっと待ってください、意味がよく分からないです。というか、漢字の読み方もよく分からないのが混じっています。もっと分かりやすくお願いします。
失礼しました。肩のインナーマッスルというと、少し分かりやすいですかね。
―あ、それなら聞いたことがあります。野球選手なんかよく痛めるといいますね。
そうですね。肩には外側に大きなアウターマッスルというのがありますが、その下に細かいインナーマッスルと呼ばれる筋肉がいくつもあります。その筋肉が痛んでいる場合は、その筋肉にアプローチしないといけないため、外側のアウターマッスルをわしわしマッサージしても意味がないのです。しかもインナーマッスルは細かい筋肉なので、スポーツをしている人は特に痛めやすいのです。さらにいえば、先ほどのように「構えたときに痛い」となっても様々な筋肉が関与しているので、どこを痛めたのか特定しないといけないのです。逆にいえば、特定さえできればあとは対処するだけだとはいえます。
―さっき、インピなんとかかんとか・・・
インピンジメント症候群です。「野球肩」といわれることもありますね。細かい話をすると肩峰下滑液包が、とまた面倒な用語が出ますのでざっくり説明すると、肩の一部が挟み込むようになってしまうので痛みを感じます。野球、テニス、バレーボールなどくり返しの運動で痛めるケースが多いです。
―具体的にはどのような施術をするのですか。
インナーマッスルに対するアプローチと、肩関節だけではなく、肩甲骨と鎖骨も関連するのでそれに対しても施術をすることになります。
<五十肩には・・・>
―肩が痛いという場合、多いのは「五十肩(四十肩)」ですね。これはどういうことでしょうか。
五十肩(四十肩)というのは俗称ですね。中年以降になって肩の可動域が落ちて痛みを感じる、いってみれば加齢現象です。お医者さんでは「肩関節周囲炎」なんて診断がつくことが多いですね。五十代でなると五十肩、四十代でなると四十肩と呼ばれますね。だから六十肩も三十肩もあり得ます。今回は世間で最も一般的な五十肩という呼び方をしますが、四十肩も要は同じです。
―痛くて腕が挙がらない、シャツを着る動きができない、というのが多いですね。ただ病院へ行っても湿布と痛み止めを処方されるだけ、なんてことが多いです。なぜでしょうか。
たぶん、五十肩では死んだ人がいないのと、数ヶ月放っておけばなぜか治ることが多いからでしょう。面白いことに、加齢現象のひとつなのになぜか両肩同時に起きる人はあまり聞かないですね。どういうわけか「右肩が痛くなくなったら今度は左に来た」となることが多いようです。
―でも腕はよく使いますから日常生活に支障がでます。「数ヶ月放っておけば治る」といわれても、その数ヶ月が困ります。施術でなんとかならないのでしょうか。
ふふふ。とてもいい施術がありますよ。
―それはどんなものですか!
ズバリ手の内を明かしましょう。それは「肩関節包」です。肩関節を包んでいるものです。
―あら、あっさりバラしちゃいましたね。大丈夫ですか?
はい。もし同業の方が見たとしても「だからといって関節包にどうアプローチするねん!」と思う方が多いと思うので大丈夫です。そのくらい、あまり他所では見かけない施術だと思います。
五十肩の場合は、この肩関節包が硬くなってしまっているケースが多いです。今のところ、私の経験では五十肩でここが硬くなっていないという方はお会いしたことがありません。ここに動きをつけるような施術をすると、劇的に良くなるケースもあります。
―その施術が五十肩の方に好評なのですね!
そうです。ただ、この施術にはひとつだけ欠点がありまして、すっごく痛いのです。その点だけご承知おきというか、お覚悟を頂ければと思います(笑)。
―五十肩は肩関節包にあり、ですね。ありがとうございました。
※五十肩の施術に関しては動画もご用意しました!合わせてごらんください。
http://youtu.be/6iM3QuzQyb8